退任のご挨拶

2011年12月17日

東京大学教養学部学生自治会123期委員長 X

 12月14日をもちまして,124期正副委員長が選ばれたことに伴い,昨年12月から2期にわたってつとめさせていただいた学生自治会委員長を退任させていただくことになりました。この間,学生自治会の諸活動に参加してくださった学生のみなさんに心から感謝申し上げます。とくに,この1年の東大教養自治会の活動は,各クラスで学生自治会の任務を担ってくださった自治委員,学生自治会書記局を構成して学生自治会運動を直接担ってきた常任委員,書記局員の各位のご尽力によるものであり,重ねてお礼申し上げます。

 委員長を務めた1年の間に,私は,教養学部生の学生生活向上と東大教養自治会の発展のために,微力を尽くしてきたつもりです。

 成績開示の改善をはじめとして,みなさんのカリキュラムやキャンパスにかんする改善要求をとりあげ,学部と交渉し,実現を求めてまいりました。こうしたなか,図書館の開館時間復元(6月),シラバスの部分的改善(9月)が実現していること、1422筆集めた成績開示の改善を求める署名は、学部側に来年度の駒場での成績開示申請実施検討を約束させるに至っていること(10月)を報告したいと思います。また,これまでの要求実現運動の中では,実態の詳細な調査やニーズの正確な把握,アンケート等調査の科学的な分析,要求趣旨の練り上げなどの点で,率直に言って,立ち後れた面がありました。これらの改善をめざし,10月には学部交渉に向けた詳細な調査を行うなどしました。この結果は学生自治会Webに掲載しています。教養学部への要求項目などもゼロベースから検討し直しました。学部交渉だけを目した行事主義を排し,必要があれば教養学部に要請を行ってきました。学生の経済的負担軽減の課題も重視し,実態調査や国会・省庁への要請に取り組んでまいりました。大学予算増額と給付制奨学金実現を求める署名は、おかげさまで754筆集約でき、文部科学省に提出したことも報告させていただきます。

3・11以降は,教養学部生による被災者支援活動にも積極的に取り組みました。ボランティア団体と提携し,被災地に12回のべ97名の学生ボランティアを派遣し,被災地の方々によろこばれています。義援金活動にも取り組み,各クラスから集められた義援金は被災地出身の東大生の支援のための基金として大学に寄託したことを報告申し上げます。

 学生自治会の運営の改善,改革も,この1年間,大変重視して取り組んでまいりました。残念ながら,これまで,教養学部学生自治会の実務や運営の到達点は,学内の他団体や一般社会の水準に比べて,大変立ち後れたところにあり,活動の停滞をもたらしたり,学生のみなさんに多大なご迷惑をおかけしたりしてきました。私は,これは学生自治会運動の発展にとって決定的な障害になると考え,ゼロベースで学生自治会の運営の改善,改革に乗り出すことにし,主に下記の点について取り組んでまいりました(順不同)。(1)自治委員会や代議員大会などの会議の運営改善,(2)自治会室の執務環境改善,(3)情報公開,(4)広報宣伝の改善・Webの充実・ビラの合理的な削減,(5)書記局の活動の合理化,(6)効率的で正確な財政運営の確立,(7)その他総合的な実務水準向上 など。

 これらがみなさんの評価に耐えうるものか甚だ心許ない限りですが,少しでもみなさんの学生生活向上と、東大教養自治会の将来の発展に向けて前向きの貢献となっていればこのうえなく幸いです。

 全国的には,機能が低下・停止する自治会が増えるなど、学生自治会運動は停滞しており,私たち東大教養学部でも,学生自治への学生の関心は低いと言わざるを得ません。こうしたなか,いまの時代に合わせて,学生の真に求める学生自治会のありようを創出しなければ,その存在意義が否定的に問われる事態となりかねないと強い危機感を持っています。どんな活動を学生自治会に求めるのか,教養学部生の間で旺盛に議論が行われることを期待したいと思います。

 学外の党派的指導や介入一般を排し,真に自由で自主的な学生自治会を築いてゆくことも求められています。教養学部学生自治会は教養学部生の組織であり,その活動についてはすべて教養学部生が議論し,決めるべきものです。学外での党派的「意思統一」などは,教養学部生の自主的な組織である東大教養自治会にとっていっさい必要ありません。学生自治会運動の中で起こる誤りを正すのもひとえに教養学部生自身の仕事であり、外部から指導されることではありません。一方,思想信条の違いを前提として一致した要求で団結するという学生自治会の原則はますます重要であり,堅く守ってゆかなければなりません。また,党派的指導・介入を排することは,非政治主義や中立至上主義をとることを意味しません。学生生活向上のためには,学費値下げ,大学予算増額など,政治に訴えるべきこともあり,「政治的なことはやらない」というのは正しくありません。政党・党派とも、相互尊重・不干渉の原則の下、必要な共同を惜しむべきでありません。2年サイクルの東大教養自治会にとり,OB・OGによる支援や経験の引き継ぎが運動の発展のために重要なのは言うまでもありませんから,節度を持ちつつ,むしろ公明正大に行うべきです。

 次の正副委員長および常任委員、そして学生のみなさんが,転換期にある学生自治会を,自由に発展させ,東大教養学部の学生自治に新たな息吹を吹き込んでくれることを期待して,私の退任の挨拶とさせていただきます。


投稿日

カテゴリー:

投稿者:

タグ:

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です