学生自治会事務局活動の正当な報償と, 学生自治会の活動の質的改善のために活動保障の導入を求める

(2012年3月28日常任委員会資料としてX作成)

 わたくしたち東京大学教養学部学生自治会では,これまでの長い間,書記局・事務局の活動に対して,ごく一部の例外を除いて,活動保障費を支払わないこととなってきました。

 今回,正副委員長の提案により,学生自治会のあり方見直しの一環として,活動保障費の導入に関する議論を開始することになりました。私は,これを心から歓迎するとともに,学生自治会事務局活動の正当な報償と学生自治会の活動の質的改善のために,活動保障の導入を求める意見を提出するものです。

 学生自治会事務局の活動は,誰かが必ずやらなければならない困難なもの,すなわち,公共的な活動であり,それに対して,正当な報償を行うことは,そもそも当然のことではないでしょうか。そして,活動保障の導入は,公的活動を推進するための責任体制を確立し,広範な学生に学生自治会活動への参加の道を開くことで真に学生の立場に立った開かれた運営を保障し,学生自治会の活動の抜本的な質的改善につながります。

 なお,活動保障(費)の議論は,単なる金の問題ではなく,事務局の活動にそもそも報償をするかどうかという,あり方の問題だと考えています。そのため,本稿では,活動保障費ではなく,より幅広い意味を持たせて,活動保障とよびならわすことにします。

■学生自治会事務局の活動は報償が必要な性質のもの

 そもそも,学生自治会の活動は,ボランティア感覚で,気軽に担えるものなのでしょうか。私は,そうではないと思います。学生自治会の活動にはさまざまな性格があると思いますが,ひとつに,誰かがやらなければならない(放棄してはならない)という性格,いまひとつに,完全な奉仕活動で担えるほど容易ではない性格,この二つがあることは,はっきりしているのではないでしょうか。すなわち,仕事に近い性格をもっているといえます。仕事に対して,適切に報償(賃金)が支払われないと言うことは,そもそも異常だと考えます。

 具体的に見てみましょう。下記にしるしたような,学生自治会事務局の活動は,無償で行えるような性格のものでしょうか。あえて,思い出しうる限り記してみます。

▽自治委員名簿の作成

▽定期試験問題の整理

▽ロッカー委員会業務

▽学生自治会室窓口

▽女子オリエンテーションの参加申し込み受付,名簿作成

▽自治委員会参加証配布,定足数確保

▽財政局業務

▽立て看板製作

▽アンケート集計

▽などなど。

 以上のような活動は,事実上の労働であり,それに対して適切に報償を行うことは至極当然だと考えます。これまで,無償で担われてきたのが,全くの異常だと考えます。

 以上のような,誰かがやらなければならない困難な仕事を,自己犠牲の下,心身を削りながら,無償で担ってきたという状態は,学生自治会執行部に参加した多くの学生を,文字通り傷つけてきたのではないでしょうか。朝4時までアンケート集計をやらされた●●君はどう思って常任委員を退任したでしょうか。アルバイトで忙しい中,新フェス実行委員会の荷物運搬のチェックなど重い任務を任されていた●●さんはどう思っていたでしょう。●●さんに対して電話で追及などをしていた●●君はどう思っていたでしょうか。せっかく自治会の活動に一定の魅力を見いだして参加したのに,こきつかわれて嫌になって執行部を辞めた●●君はどう思っていたでしょうか。●●君から執行部を辞めたいと連絡を受けた●●君,●●さんはどう思ったでしょうか。自治会の被害者の会を作るなどと冗談を飛ばしながら,1人でロッカー委員会の業務のほとんどを処理した,亡き●●君はどう思っていたでしょうか。ほんとうに,これまでの執行部員は,無償の重労働に傷つき,さらにそのことでお互いが傷ついてきました。学生生活向上のための団体である学生自治会の活動がもとで,多くの学生が心を病むということがあっていいのでしょうか。

 学生自治会の活動は負担が重すぎます。活動保障が出ないでやれる活動ではありません。こんなにつらい活動にお金が出ないのは異常です。

■活動保障の導入は,学生自治会の活動の質的改善に資する

 活動保障がない状態は,仕事への無責任を生み出します。または,学生自治会の仕事は,放棄できない,公的なものであり,その間との矛盾を来すようになります。活動保障がない状態は,すなわち,自治会活動はボランティア,サークル活動程度の心構えでやっていればよいという意味ではないでしょうか。そうでないのなら,対価なしに無理強いをさせられるということではないでしょうか。いずれにしても,学生自治会の公的な活動を正当に評価しない議論です。

 じっさい,今までの学生自治会では,非常に無責任な仕事がまかり通ってきました。例を挙げればきりがありません。心に残っているのを上げるならば,2011年1月,オリエンテーション委員会に,一括徴収の申込書と,財政諸表と,説明書を提出しなければなりませんでした。しかし,●●局長が雲隠れし,しめきり前日になっても着手されておらず,やむなく,私が半分徹夜して作成し,しめきり翌日の朝一番にこっそりa103のポストに入れて事なきを得ました。このときの●●局長の態度は無責任です。そのままであれば,一括徴収ができず,学生自治会に会費が入ってこず,活動の継続が危機的になる事態でした。しかし,活動保障がなければ,彼らに,公的な活動を強制することはできないのです。なぜなら,善意で「手伝ってくれている」に過ぎないからです。サークル以上の強制力はないからです。無理強いになってしまいます。みなさんも,今の現状で,正副委員長や事務局長から,「あれやれ」「これやれ」と指示されてばかりで嫌だと思ったことがあるのではないでしょうか。活動保障があれば,事務局員にはそれだけの責任がおのずと伴うようになりますし,自覚もできます。嫌々やらされる,身を削る活動ではなくなるので,おのずと責任ある活動ができるようになります。動機もポジティブになります。執行部内部でも,きちんと,率直に,責任持った活動をよびかけることが可能になります。

 政党など,目的を共有する団体なら,無償でかつ活動を100%するということが成り立つかもしれません。しかし,学生自治会は,なにかの目的を共有する任意組織ではなく,全学生が加盟する公的な組織です。そのような関係は成り立ちません。

 活動に対して報償が支払われることは,担い手に,それだけの価値ある活動を担っているという誇りをもたらします。公的に,活動が認められているという意識にもつながります。役員・事務局員が,自然と誇りを持って活動できるようになれば,特殊な使命感をもつことが避けられ,広範な学生の立場に立った自治会の運営につながります。たとえば,下記の広告をみると,東大新聞の記者に「正式な仕事をしている」という権威があると感じませんか。それを記者自身は誇りと感じているのではないでしょうか。

 次に,きつい活動にも関わらず,活動保障がないということは,活動を気軽に参加できないものにし,多くの学生を学生自治会事務局から遠ざけているのです。その結果,学生自治会の活動を無償で担えるだけの非常に強い使命感をもつ少数の人で自治会執行部が構成されることになり,広範な学生の感覚から離れた運営につながってしまいます。たとえば,学校のPTAや,町内会などは,運営に不満を持つ構成員が少なくありません。しかし,仕事がきつい割に,活動保障がないため,有能な構成員が役員になろうとしませんし,不満を持った構成員が役員になって内部から変えるということもできません。その結果,特殊な使命感をもった少数の固定化された人たちが団体を引き回すことになりがちです。忙しい人でも自己犠牲せずに参加できる活動スタイルと活動保障,有能な人が参加したくなるインセンティブにつながる活動保障を確保することは,広範な学生に自治会活動参加への機会を保障し,団体の運営を,広範な構成員の立場に真に立ったものにするために非常に重要です。逆に言えば,活動保障がない状態は,広範な学生が自治会活動に参加することを妨げているのです。自治会活動の門戸は全ての人に開かれていなければならないはずです。そもそも,アルバイトをしなくても生活してゆける人しか自治会活動に参加できないということがあってよいのでしょうか。学業を犠牲にできる人しか自治会活動に参加できないということがあってよいのでしょうか

 さらに,役員・事務局員に対する活動保障がないと,「やってあげている」という尊大な意識につながり,批判を受け入れない構造になります。たとえば,学生から批判や指摘があったときに,「わざわざ自己犠牲してやってあげてるんだ。言いたいことがあるなら執行部に入って言え」という非常にしょうもない議論になります。活動保障があれば,むしろ事務局員は,会員から集めたお金をいただいて活動しているという意識をもち,責任と誠意を持って活動に取り組む姿勢につながります。学生も,気後れすることなく,「自治会費から活動保障を受け取っているのだからそれに見合う活動を求めて当然」と,自信を持って批判をすることが可能になるのではないでしょうか。一般学生と役員・事務局の間で,健全に議論できる環境を打ち立てられます。

 ところで,みなさんのなかには,学生自治会事務局の活動は,自分は無償で担うことができる,と考えている方がいるかもしれません。しかし,報償がなければ学生自治会事務局の活動など担えないと思っている学生は学生自治会事務局参加の道を閉ざされており,すでに現在,学生自治会事務局への参加の道は狭められているのです。無償で担うことができる,という意見が,現執行部内ではもちろん,まして現執行部の外では決して多数ではないことを意識するべきではないでしょうか。また,自分は無償で行うことが苦痛ではない,という意見をそのまま議論に持ち込むなら,それは,後任の人や他の執行部員に,無償で活動を担うことを押しつける結果になりかねないことを指摘しておきたいと思います。自分がどう思うか,という尺度だけではなく,広範な学生の立場を考えながら議論することが大切です。

 活動保障は,ただ「もらえる」というだけの話ではありません。学生自治会のあり方を変えるだけの積極的な意味を持っているのです。

■どうしてこれまで活動保障が導入されてこなかったか

 学生自治会の活動は労働に近く,報償を行うことは至極当然だと述べました。また,活動保障の導入が,活動の質的改善につながることも述べました。

 ではなぜ,これほどにも当然でかつ活動の発展にとって有益な活動保障がこれまで導入されてこなかったのでしょうか。これは学生自治会の自主的かつ合理的な判断の結果では決してなく,過去,東大教養自治会をながきにわたって指導下に置いてきた日本共産党の,党派支配を継続させる方針があることをつかんでおくことが重要です。

 私は日本共産党の直接の指導下の協力者として,Z常任委員は日本共産党員として,第122期正副委員長をつとめました。4月頃,私たちも,自治会活動のあまりの負担の重さにもはや耐えきれず,追い詰められるようにして活動保障費導入の議論を始めたいと思うに至りました。常任委員会にも提案をしました。しかし,共産党都委員会専従と私たち当時の正副委員長で自治会活動に関する会議を開いたとき,私たちから活動保障費の導入の議論を始めようとしている,と話すと,青年学生部長のT氏が強い口調で猛反対したのです。その主張の核心は,活動保障費を導入すれば「官僚化」するというものでした。この議論自体が,党派的なものです。「官僚化」とは,党内用語で,「民主化」の対義語です。「民主化」とは,その団体の主要部分を共産党が握り,共産党の指導下に置いたことをいいます。「官僚化」は,一般学生が主導権を握っている状態を悪いこととして指し示す用語です。すなわち,共産党は自ら,活動保障費を導入すれば共産党員・民青同盟員以外の学生が大勢参加することにつながることを認めているのです。そのうえ,党外の優秀な学生が自治会の中心に参加するようになると,自党の支配が揺らぐことをおそれて,活動保障の導入に猛反対したのです。この後,私たちは,常任委員会に提案した活動保障の議論を,話題として浮上させないことで,幕を引かざるを得ませんでした。私たちが直接共産党から活動保障費の議論を禁止されたのはこの1回だけですが,以前から同様の方針を持っており,自治会内で議題として浮上するのを避けるよう指導していたのでしょう。共産党は,未だに,活動保障導入に反対し,東大教養自治会の活動保障導入を阻止しようとしているものと見られます。

 この一節に対して,活動保障導入に反対する人に対して共産党とのレッテルを張る物だとか,政党の議論を自治会に持ち込むもの,等と批判がなされるかもしれませんが,それは日本共産党だけを特別扱いする主張,共産党の「論理」を勝手に全学生にごり押しする主張にならざるを得ないことをあらかじめ指摘しておきます。また,この執行部の中に,学外党派の助言と称した指導や介入を受け入れて,学生の自主的な議論をないがしろにするような人はほとんどいないはずですから,自信を持って主張すればいいと思います。

■機能する学生自治会へ

 現在,本会には,多数の棚上げになってしまっている課題がある。第2回進路応援プロジェクト,駒場消防団,学生自治会の防災対策,震災復興支援活動のまとめ,実態調査の集計,  など。これらはいずれも学生の期待に応える重要な活動である。しかし,多くの活動が滞っており,立ち消えになろうとしています。この状態は,現在の,活動保障のない,アマチュア活動の体制は,学生の多様な要求,期待に応えられない体制であるということを証明しています。これは今期だけの問題ではありません。東京大学教養学部学生自治会は,これまでも,さまざまな活動,業務が滞っています。ここ数十年,機能が低下している状態だったと言ってもよいくらいではないでしょうか。たとえば,基本的な事務局業務がまったく放棄されています。もっとも重要な公示文書はほとんど保存されていません。財務諸表も残っていません。代議員大会の決定などほとんど残っていません。常任委員会の書記は現在行われていません。

 もっと,「会」として,しっかり機能する状態をめざす必要があるのではないでしょうか。

■学生自治会に「綱渡り」をさせていいのか

 一時期,運動会硬式野球部が,マネージャー不足で,マネージャーを熱烈に募集していたのを覚えていますか。結局,選手からマネージャーを出すという苦渋の選択を余儀なくされたそうです。

 無償の活動では,メンバー募集が,サークルと同レベルでしか行えません。そして,その場合,毎年安定して人が集まる保障が全くありません。全くです。

 実際に,東大教養自治会は,毎年綱渡りをしてきました。2009年世代は,最後,実働人員が4人になりました。2008年世代は,実働している執行部員が2名に陥ったこともあります。このときは,共産党に所属している学生だけで持っている状態でした。事実上,これらの時期に,東大教養自治会は崩壊,機能停止の危機を迎えています。

 学生自治会という公的団体に,サークル同様の綱渡りをさせていいのでしょうか。下に,香川大学で学生自治会が無くなって,学生の意見が大学に反映されなくなったことを報じた新聞記事を紹介しておきます。活動保障があれば,毎年,最低限の学生を担い手として集められる保障になります。公的団体として,この程度の措置を行うことは当然のことです。サークルと同レベルのメンバー募集をつづけさせることは,後世に学生自治会崩壊の危険性を押しつけるものです。

 参考記事:2001年9月17日付「四国新聞」 「“一方通行”の大学改革 学生10人が突撃取材」

http://www.shikoku-np.co.jp/feature/tuiseki/140/ 2012年3月27日最終閲覧

■お金をもらわないから信頼される?

 お金をもらわずに活動しているからこそ学生から権威を持ってみられるという意見があるかもしれません。私も共産党専従から聞かされました。しかし,学生は,そんなことよりも,仕事がきちんとできているか,信頼できるか,というところで判断するのではないですか?たとえば,窓口さえろくに開くことができない学生自治会事務局員と,常に窓口に待機し複雑な特別仕様申請の対応をいつでもしてくれる学生会館運営委員と,どちらが「権威」を持ってみられているでしょうか。

■お金をもらうことは悪いことなのか?

 お金に潔癖な考えは,あまり科学的な議論ではないと思います。それこそ,自分たちの活動に,お金をもらうほどの意味がない,と自信が持てないからではないでしょうか。お金は堂々ともらい,それに見合う,学生から納得を得られるレベルの活動をすればいいだけの話です。

■学生自治会の活気のなさ,ネガティブな活動

 ●●さんを思い出します。学生自治会の活動に意義を感じて,平和活動を中心に執行部活動に参加してくれていました。しかし,途中から自治会室にあまりやってこなくなり,最後には連絡がつながらなくなりました。みなさんも,活動が嫌々「やらされる」ものだと感じたことはありませんか。正副委員長が追及してくるのが嫌だと思ったことはありませんか。現状の体制では,容易に,活動が「やらされる」苦痛な状態に陥り,執行部員・事務局員の深部のモチベーションが上がらないのです。会議を開いても数人しか来ない,連絡がつかない,やってと言ったことがやってもらえてない,正副委員長が「追及」しないと仕事が進まない,自治会室にあまり人が来ない,などなど,学生自治会の組織に全体として活気がないのは,こんな所にも大きな理由があると考えます。

 ●●さんや,●●●さん,昨年関わってくれた●●さんなどは,「申し訳ない」という気持ちから,学生自治会に近づきにくくなっているのではないでしょうか?

■学生自治会の「居場所主義」克服を

 上記と関連して,学生自治会の活動には,ポジティブなモチベーションを持ちにくいため,正副委員長など指導部による執行部運営が,悪しき「居場所主義」に陥ってしまいます。たまにしか来ない執行部員が自治会室に来ると無茶苦茶笑顔を作って「あ~よくきたねぇ~」などと。学生自治会執行部を居場所にすることによって,執行部員をつなぎ止める,という方向に行きがちです。これは,学生自治団体の執行部のあり方として誤っています。なぜなら,お互いの「あたたかい」表面的な関係,表面的な集団を維持することが重要になってくるため,学生の代表としての責任ある議論,本音の議論ができない雰囲気をつくりだしてしまうからです。

 正副委員長経験者はわかると思いますが,居場所主義の自治会執行部では,執行部員がいつ自治会から離れてしまうか不安で,執行部員に対してひどくへりくだった態度になってしまうのです。精神的な負荷も非常に大きいものです。これは,学生自治団体の人間関係として不適切です。

■他団体は活動保障を導入している。

 主な学生自治団体,公共団体:学生会館委員会,学生会館運営委員会,学友会学生理事会,東大生協駒場学生委員会,東京大学新聞社――これらは,党派の指導・介入を受けずに,自主的に議論・判断してきた結果です。私は,東大の学生自治団体,公共団体が,活動保障を導入して,活動を維持し,発展させてきたことは高く評価されるべきだと思います。

■駒場祭委員会,五月祭常任委員会は活動保障を導入していないが

 それは,両委員会は,「祭が好き」という人で運営できるからです。学生自治会は,学園祭とは違って,どちらかといえば楽しい活動ではありません。くりかえしますが,学生自治会を,「自治会が大好き」という人だけで運営したらどうなりますか。学生自治会が大好き等という人間は私のような奇特な人です。特殊な価値観や,一部の政党員で団体を引き回す結果になると言うことです。

■学生自治会大好き人間だけで活動できる活動保障無し体制の方がいいのか?

 自治会「官僚化」防止論の言い換えに過ぎませんが,活動保障がない方が,上記で言及した,「学生自治会大好き人間」で執行部を形成することができる,という意見があるかもしれません。客観的に見て,活動保障がない方が,学生自治会の意義・役割などをよく理解した(それが理解なのか崇拝なのかはよく考えなければなりませんが。)人で執行部が形成されるのは事実だと思います。しかし,(1)何度も言うが,それが,特定の価値観で固定化した学生自治会運営につながる元凶そのものであり,幅広い学生が参加できる体制でなくてはならない, そして, (2)活動保障がない体制は,むしろ,学生自治会の意義・役割を理解している人までも,結局負担を嫌って活動をやめてしまう,そういう有能な人を蹴散らす効果の方が大きい。今年度,最初執行部員は30人いたが,いまは何人か?辞めたのは何人か?●●君は学生自治の意義をよく理解していたが,今の活動保障のない執行部は辞めてしまった。なぜか?活動保障を導入した方が,むしろ,学生自治会の意義・役割をよく理解した人のより多くの参加を得られる。学生自治会の意義・役割を理解できる人が駒場に10人ほどしかいないなんて考えられる?

■オリエンテーション委員会は活動保障を導入していないが

 私は,オリエンテーション委員会は,活動保障について,学生自治会と同様の問題を抱えていると思っています。

 オリエンテーション委員会の方々の努力を私は高く評価しているのですが,しかし,一般学生からは,批判の声が少なくありません。たしかに,オリエンテーション委員会の活動を端から見ていると,失礼ながら,学生を管理する,「おれたちは統轄する団体でえらいんだ」という管理主義的な一面が見られます。また,学部当局と距離が近い,それも,権威として働いているような気がします。

 彼らもまた,学生自治会と同様に,きつい活動を無償で担うために,特殊な使命感を持って活動していると見ます。

■活動保障の効果を発揮させるために

 上記に上げた活動保障の効果を発揮させるためには,十分な金額を確保することが重要だと思います。

 1時間300円だとか,そういう「お礼」,「手当」程度のお金では,インセンティブとして働かず,学生自治会の「意義」などを崇拝しなければ継続できない活動になり,結局同じ事です。

 1時間1000円を目安に,それ自体がインセンティブとして働く金額を確保するべきです。そうしなければ,今回の議論は無駄になってしまいます。

 金額の検討にあたっては,もちろん適正な水準になるように意識するべきです。しかし,お金に潔癖である必要はありません。お金を受け取るのは悪いことではありません。お金を受け取ってもそれに見合った仕事をしないならば,悪いのです。また,お金を受け取る執行部員は自治会員です。また,自治会員は誰でも執行部・事務局に入れるのです。特権などではありません。幅広い会員への会費の最大の還元です。その点では,事務機器を買うのよりも有効な使用方法とも言えるのです。

■議論の開始に反対した常任委員各位へ

 今回の正副委員長提案は,なるべく幅広い立場の常任委員が一致できるようにという最大限の政治的配慮から,「活動保障費の導入に向けて検討する」などと言った方向性を含んだ文言ではなく,「議論を開始する」という中立的な表現にしたものだと思います。提案の意味を正確に読み取るべきです。

 議論にすら反対というのは,政治主義的で非本質的,かつ,分裂主義的な,全く誤った態度です。学生に対して説明がつきますか。自己批判を求めます。


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