学生自治会の聖域なき改革

(2012年1月12日Q作成、東京大学教養学部学生自治会、同日の自治委員会で出席者に配布)

第124期学生自治会委員長 文科3類1年 Q 

選挙への多大なるご協力に、心から感謝申し上げます。精一杯がんばってまいりますので、どうぞよろしくお願いします。

みなさんは、学生自治会にどのような印象をお持ちでしょうか。

全国的に学生自治会運動が下火となるなか、東大教養自治会も、一般の学生の感覚とかけ離れた特殊な世界観に包まれたものとなっており、学生の中でいわば「浮いた」存在となっていることに間違いないと思います。前年度末まで特にそれが顕著でしたが、それ以降の運営常面での大きな改革により、東大教養自治会への理解と信頼が向上したとは思います。しかし、その改革ですら、自治会活動全般をつらぬく「特殊な世界観」のもとでの改善にすぎなかったのは否めません。

「学生全員が加盟し、民主的な規約の下に運営される」という形式をとりながらも、実際には学生を糾合することはなく、むしろ関心すら向けられていません。この根本要因は次の三つだと考えます。

①「学生の多数で一致できる要求を掲げ、力を合わせてその実現のために行動する」ことの聖域視と無反省な追求

 いま、学生の興味・関心・ニーズは多様化しています。駒場全体を見渡してみると、教え切れないほどのサークル、学生団体が勃興し、学ぼう・アクションを起こそうと積極的に活動しています。それらのなかには、学内、若い世代、あるいは社会に影響を与えているものも少なくありません。かつて学生運動が盛んだった頃とは異なり、いまや学生全体が共通の利益・関心集団であるとはいえなくなっており、「全学生が一つの組織に結集し、一致した要求を掲げ運動する」ということに学生が関心を示せないのは当然です。

 それにもかかわらず、学生自治会は、結果としてそういった現実を直視することなく、「要求で団結する」ということにこだわり続けてきました。しかも、その価値を過大評価し、不可侵なものであるかのようにとらえてきました。

②自治会の特殊な世界観に一致した一部の学生による、「要求実現」活動への活動保障なき献身的な従事

学生自治会の活動は、会議の準備や、アンケートの集計、ビラや立て看板の作成など、時間と労力のかかる「雑務」が多く、一部の学生が自らの学生生活を犠牲にして従事していました。さらに、妙に政治主義的な世界観の一致があったわけですから、学生がそこに近づきがたいのは当然で、多くの学生が次々と執行部を離れ去り、担い手がいない状態が続いているのも自然なことです。

学生から見れば「特殊」といえる閉鎖的な活動を担う執行部員たちが、本当の意味で学生の要求をつかめていたとは思えません。

このような状態にありながらも、これまでの学生自治会は、それらに目を背け、自らの存在意義・学生自治における役割を過大評価し、根本的な考え方が変わることはありませんでした。学生に近づいていけないようなこのような活動が、本当に学生のためになるものでもあったとは考えにくいと思います。

これらの反省を踏まえ、わたしは今期、現実をみない特殊な世界観を打破し、すべての前例やドグマをふりはらって、さまざまな改革をしていこうと考えています。

活動補償費の導入がその一つです。時間と労力のかかる「雑務」をすべて無償で行うとなると、どうしても、奇妙な精神的一致だけのもとで活動することになります。今まででは、「無償でやっているからこそ学生の尊敬を集めるのだ」などという考え方が存在し、活動補償費導入は否定されてきましたが、今期はロッカー鍵の仕分けアンケート集計などの人数が必要な作業については、学生全体から協力者を募り補償費を給付することを考えています。そうすることで、これまでほんの一部の学生に担われていた学生自治会が、より多くの学生に担われるものとなることを目指します。

また、これまでの教科書リサイクルや過去問コピーを維持・発展させるとともに、先期導入した製本機器の貸し出しなど、学生生活支援事業をより重視して取り組みます。

昨年度から行っているボランティア活動を今後も維続して行い、学生の社会貢献を後押しする新たな取り組みも追求していきます。

新入生歓迎について、「全都新人生歓迎フェスティバル(新フェス)」が新歓にふさわしいものだったのか、新入生本意で一から考え直したいと思います。

行事主義的・「民主主義」的・形式的な運営を抜本的に改めます。学生自治会規約も改正し、より現実に合ったものにしていきます。今日みなさんがお持ちの「自治委員会参加証」についても、非常に形式的な委任の取り方を改めます。

学生の立場から見た大学の改革すべき点を、学生を代表して学部に要求することそれ自体には重要性があると考えます。これまでのように「多数で一致できる要求」にこだわるのではなく、学生の多様なニーズに合わせ、学部との協議をしていきます。

以上のような改革に共通するのは、「公共性」の追求です。学生自治会を全ての学生にひらかれたものとし、教養学部生の学生生活向上をさまざまな角度から追求していきたいと思います。

そのうえで、学業・サークルなどさまざまな方面で活躍する学生のみなさんからの、多様なアイデア・意見を求めています。いつでも大歓迎です。みなさまの積極的な意見・批判をお持ちしています。


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