「学生自治会ガイドブック」について抗議と訂正を求めます

東京大学教養学部前期課程生のみなさま

2012年6月6日

「学生自治会ガイドブック」で現執行部の方が過去の活動を非難・否定している点に関して、6月4日に文書で抗議と訂正を求めました。その際の文書と、学外党派の介入という執行部の意見を報じた「東京大学」に送った文書を、載せています。ぜひ、自自治会員の皆様に読んでいただき、考えてもらいたいと思います。

東京大学大学院理学系研究科 修士1年 ●●●●●

Mail: *******@*******.co.jp

東京大学教養学部学生自治会

– 第116期 常任委員(2008年4月〜)

– 第117期 書記次長(現・事務局次長)

– 第118期 副自治委員長

– 第119期 書記長(現・事務局長)

– 第120期 常任委員(〜2010年3月)

私はほぼ2年間教養学部学生自治会(以下学生自治会)で執行部(正副自治委員長・常任委員会・書記局員(現・事務局員)の慣例的総称)をつとめ、半年の副自治委員長と書記長(現・事務局長)を経験させていただきました。現職の執行部の方々が、私たちも含めた過去の活動を、ガイドブック2012年版の「東大教養自治会のこれまでとこれから」(p11-)において非難・否定している点について、反論したいと思います。当時の自治会員の皆さまに誤解を与えかねず、選挙で信任いただいた立場から、誤解をたださねばなりません。

まず、確認しなければならないのは、ガイドブックの冒頭(「学生自治会とは」)で述べられている学生自治会の基本的な役割・姿勢は、多くの点で私たちのころと何ら変わりのないことです。そのことを前提に、以下で反論を述べたいと思います。

①「『要求で団結』することを聖域化」してきたとされている点についてです。

まず、「学生全体が共通の利益・関心集団であるとはいえなくなって」いるとしていいますが、みな何かしらの学びたい思いを持って大学に通っているはずです。昔の学生にも様々な関心・ニーズがあったはずであり、それが「多様化してい」ようとも、学生一人ひとりの学びたい思いを生かす大学を目指し、学生みなで一致できることがあるのではないでしょうか。

高い教科書費用や成績開示方法の問題などはわかりやすい例だと思います。また、一見全員が一致しているわけではない事柄でも、代議員大会や執行部会議を通じて議論し、総意や一致点をつくれると思います。たとえば、学生の中には、高い学費のためアルバイトなどに追われて大変な生活を送っており、学びに集中できない方もいます。そのことを、学費に困っていない学生も含めて、みなで一緒になって考え方で、学びやすい大学をつくるために学費を下げてほしいと一致できるのではないでしょうか。一方で、教科書が安く手に入るよう、独自に教科書リサイクルをとりくんできたことも、代議員大会や執行部での議論や決定を踏まえた要求の実現の一環だと思います。

「学生の自治と総意によって、学生生活全般の充実向上に努める」ために学生の様々な思いを共有・議論し、活動していくことが学生自治会の大切な役割です。私たちの活動は常に、クラスの代表者からなる代議員大会や自治委員会の決定に基づいてきました。それを学生の声からかけ離れたものだったかのように言うのは、私たち過去の執行部だけでなく、大会に参加した多くの代議員への非難にもつながることだと感じます。もしくは、現執行部のみなさまは代議員の方々を信頼していないということだと感じます。もちろん単に多数決で決したからというだけでなく、より一層、学生の総意となるよう、大会参加の呼びかけなどにも努めてきました。その努力は、例えば、全代議員が大会に参加するという状況まで続けられるべきものだと思います。この点において、私たちの努力は、現職の方々に非難される程度の努力ではなかったと当時の会員の皆様に伝えたいです。

② 「一部の学生による…献身的に従事」で運営されていたという点についてです。

執行部のできる範囲で活動をしたり、活動を効率にすることは大切です。しかし、「一部の学生だけが…献身的に…担」ってきたというのは誤りです。サークルやバイトで大変な学生でも、可能な範囲で執行部としてがんばっていた方や、手伝いをしてくれた方も多くいます。もちろん、執行部だけでなく、多くの自治会員、自治委員の方々に多大な役割を果たしてもらっていました。年10数回に及んだ自治委員連絡会(現・自治委員会議)では、毎回の感想文で多くの意見を自治委員の方々からいただき、それを活動に反映させたり、回答をフィードバックするなどの取りくみも続けていました。決して、閉鎖的な一部の学生だけでやっていて「本当の意味で学生の要求をつかめていたか」とは思いません。

また、「適切な活動保険費支給によって、それまで非常に甘かった役員の責任が明確かし、活動の意欲が高まる」(p13)とありますが、過去に活動保障費がなかったことが責任の自覚の欠如に繋がっていたなどということは決してありません。むしろ、執行部の感じる責任は直接的もしくは間接的に学生のみなさまに選挙で信任していただいた時点で、7000人の学生の思いを肩に背負っており、その責任を十分に感じながら活動してきたと思います。もし時給制の活動保障費に基づく責任であったならば、その時間しか責任が発生しなくなっていたのではないでしょうか。また、役員給であれば、額を定めることが難しかったでしょう。

たしかに、執行部活動のために、できなかったアルバイトや拘束される時間の分を保障するなど、活動保障についての議論はあるかもしれません。しかし、少なくとも、活動保障費がなかったから、責任感が足りなかったというのは大変心外です。

③ 「学外党派による介入を許さない」についてです。

以前にも執行部に指摘したにもかかわらず回答がなく、あいかわらず主張されていることは大変残念でなりません。当時の副自治委員長・書記長として、私たちの代において、学外党派による指導と介入などありませんでした。執行部一人ひとりは特定党派の党員あるかないかにかかわらず、みなで議論をつくし活動してきたと、特定党派の党員ではない身として、あらためて言及しておこうと思います。参考に4月3日に東京大学新聞に載ったメールをつけさせていただきます。

学生を第一に考える基本的な役割・姿勢は現在も過去も変わりません。無責任に批判するのではなく、過去を直視し、今後の自治会活動を発展させていくことを心に望みます。

【参考】4月3日に「東京大学新聞」へ掲載をお願いしたメールです。

残念ながら掲載いただけませんでしたが、参考につけさせていただきます。

下記に私個人の見解を述べさせていただきます。また、2月末に正副委員長常任委員会あてに同じ意図のメールを送っておりますが、彼らより未だ返答がなく、非常に憤慨しております。 

ぜひとも、近年の執行部経験者の一人の意見として、御紙に掲載していただきたく存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

【見解】

私は2008-2009年度にかけて教養学部学生自治会において、半年間の副自治委員長と1年4か月間の常任委員(うち、半年ずつ書記長、書記次長※)を務めさせていただきました。現在の正副自治委員長は、おそらく私たちの時代を含む過去の執行部が、学外党派の指導と介入をうけて、活動してきたと主張し、批判しています。その学外党派とはおそらく日本共産党をさすのだろうと思いますが、私は共産党とは全く無縁の人間です。一方で、当時において主導的な役割を果たしてきたと自負しております。

私は、日本共産党による指導と介入など一切なかったと確信をもって、当時の教養学部前期生を含むすべての東大の構成員に伝えたいと思います。先ほど、私はその党の党員ではないといいましたが、それも本質的にはさほど重要なことではありません。共産党でも自民党でも、党員が執行部にいようといまいと、学生のみなさんに信任していただいた責任を果たしすべく、代議員大会決定の実現のためのとりくみや、方針作成の議論を重ねてきました。もし、その過程に特定党派の党員が執行部として加わっていたとしても、みなで議論をつくして、学生の一致点だと確認していれば、学生自治会の活動として問題ありません。むしろ、その決定を特定党派の方針に意図的にそわないようにすることで、学生の学びを守るとりくみが出来たことだってあるでしょう。一方で、証言をしたとされる前自治委員長が指導・介入を許したとすれば、そのこと自体を私は許せません。そもそも無理な指導をさようと、無視すればよいことです。

また、最近になって、正副自治委員長・常任委員会が全日本学生自治会総連合(全学連※)とその東京支部である東京都学生自治会連合から脱退を表明しました。全学連や都学連も共産党の影響下にあるという主張が理由のようですが、これも明白な誤りです。私は都学連の役員、特に三役も務めましたが、特定党派の影響など受けていません。やはり役員みんなで議論を尽くして活動してきました。また、今回の彼らの指摘は、民主的にとりくみを進めている他の学園の全学連加盟学生自治会・執行部に大変迷惑な話です。党派的指導など受けていないのに、執行部以外の学生からそう思われてしまうかもしれないのですから。同時に、新入生歓迎フェスティバル(新フェス)実行委員会※からの脱退も表明しています。これまで、新入生が新フェスに参加することでクラス作りの一助としてほしいと、参加費を学生自治会執行委員長として経験してきたわけですが、今年参加したいクラスは自分たちで負担しなければなりません。昨年度の実行委員会事務局長として大変残念でなりません。

私にとって、学生全体が構成員である学生自治会は大学の構成員の1つである学生が誰でも大学作りに参画できる公的な仕組みです。学生みんなでそれぞれの学びたい思いをいかせる大学にしようと、考える場です。教科書リサイクルや自主ゼミ支援、女子学生のためのオリエンテーション、そして新フェスもその1つだと思いますが、広く駒場キャンパスに浸透してきた取りくみもあると思います。こうしたとりくみは、代議員大会でその駒場生にとっての意義を確認して行ってきました。単に一部の学生がサービスとして提供するものでありません。もしそうなら、一部の学生が恣意的に支援するゼミを選ぶ、教科書リサイクルの利益を得るなどの事態がおきるかもしれません。学生自治会が全学生を構成員として、執行部一人ひとりの学生に根差した姿勢でとりくんでいるからこそできるのです。また、だからこそ、大学当局と正式な交渉権を有し、カリキュラムや施設改善や学費負担の軽減にとりくめるのです。

確かに、そうした議論をすべての学生に伝えきれていなかった責任は、私たち執行部にもあります。しかし、過去の学生自治会が特定党派の影響下にあったと偽り、ゼロベースで改革しようと主張する彼らにとても危機感を感じます。私は本来教養学部前期生ではなく、こうした問題に口をだせないかもしれません。しかし、現在機能している学生自治会が東大は教養学部しかなく、それが「過去の執行部が特定党派の指導・介入をうけてきた」などという事実ではないことを流布していることに東大の構成員として看過できません。私は2月末に、この事実誤認を指摘し、過去の執行部の1人として話し合せてほしいと、正副自治委員長・常任委員会宛てにメールを送りましたが、未だに回答がありません。そのような彼らによるゼロベースの改革では、東大から学生自治会が消えるのではないか、学生大学自治に参画する場がなくなるのではないか、心から心配です。

東大の構成員のみなさまには、今の執行部が述べている偽りを信じることがないよう、切にお願いしたします。

東京大学大学院修士1年 

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(東京大学教養学部学生自治会 118期副自治委員長)

※いずれも当時の役職名。常任委員会のよとめ役と補佐と考えて差し支えありません。常任委員会はクラス代表からなる自治委員会から20名選ばれる役員です。 

※学生自治会の全国的連合体。年1回の大会で方針を決定し、役員を選出している。各学生自治会へ共通した課題にとりくみ、互いにとりくみを学びあう活動を進めている。 

※都内の着式団体や有志学生により構成されている。


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